私が試乗したF3は最新モデルで、価格は210万円~。足を投げ出す姿勢で運転しますから、ハーレーダビッドソンのようなアメリカン・バ イクを運転している感覚に近いです。足を投げ出す姿勢はステップが前方に位置する(フォワード・コントロール)ことから来るものです。
このBRP社はスノーモービルやジェットスキーの製造で伝統ある会社ということで、このF3の走行感覚は、かつて十勝川河川敷で運転したことのあるスノーモービルに近いものでした。
Can-am Spyder
http://www.brp-jp.com/spyder/
試乗したF3のほかに、ツーリングに適した、荷物積載スペースをもつSpyder RTシリーズも並べてありましたが、残念ながら試乗車が急遽、出払ってしまい、こちらの試乗はできませんでした。スタッフの 熱心な説明に、もしバイクを所有していなければ、大きく心を動かされましたね。少なくとも下手なオープンカーよりは何倍も面白いと思います。
実際の感覚は、この動画でご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=WUrFMeaJ7Yw
まず、エンジンをかける前にキーをONにすると、メーター中央の画面に、英語で注意書きが流れます。雪道で走るな、等々。それを確認したことを左手にあるEcoボタンを押すことで認証しなければ、エンジンスタートボタンが押せません。
6速セミオートマチックの変速は左手の親指でシフトアップ、人差し指でシフトダウンという位置関係にあるシフトボタンを操作することになりますが、これも 一瞬ですが慣れが必要です。ニュートラルからローに入れるには、右足のブレーキを踏んでいる必要があります。ちなみに通常のオートバイにある右手の前ブ レーキはなく、ここはクルマと同じフットブレーキとして右足にあるだけです。このセミオートマチック。シフトアップは左手のボタンで行う必要があります が、シフトダウンは自動的に行ってくれます。もちろん、自分で左手のシフトダウンボタンを押してもよいのですが、エンジン回転数が許容範囲の場合だけ、シ フトがなされます。つまり、シフトアップにしても、速度や回転数が見合わない場合、そのギアには入らないというわけです。30キロぐらいの速度では5速や 6速に入りません。
このあたりのオートマチックのシステムですが、かなり高度なコンピュータ制御がなされていると感じました。現代の高度な電子デバイスの賜物という印象を受 けます。それには四輪の最新システムをふんだんに取り入れているということですが、完成度の高さに驚きます。また、なんとハンドルにはパワーステアリング 機構も備わっており、静止時にもハンドルを切ることが容易にできます。これにも驚きました。
走行してみて感じたことは、不思議な安心感です。安全感とも言えるものかも知れません。確かにバイクと同様、身を守る入れ物はないわけですが、地面を這い 蹲るような感覚で安定した走りですし、周囲との距離感をつかみやすいことも安心感につながっていると思いました。この安定感や安心感は二輪車にはない特性 でしょう。
あと、地面に足を付くことがありませんから(足つき性は意外と悪い)、マシンの重量を意識することがまったくありません。総重量386kgというヘビー級の乗り物ですが、それを意識することなく、俊敏な運動性を見せてくれます。
試乗はもちろん無理ができませんから、恐る恐る走ることになりますが、試乗の後半では、かなり慣れてきて、交差点の右左折もハンドル操作に集中することで、まったく苦もなく曲がれました。
ハーレーのウルトラからの乗り替えをしたお客さんが実際にいるそうです。おそらく高齢者?なのかもしれませんが、倒れないという絶対的な安心感は何にも代え難いものだと思います。