今回の直島いきは、「死ぬまでに見るべき世界の100建築」のひとつ、直島のベネッセアートサイトを見るためだ。建築物を見るのが好きなので、これはぜひ見るべきだと思い、早速行くことにしたのだ。その一つ、地中美術館は安藤忠雄氏の手によるコンクリート打ち付けの地下施設。その芸術性は一部理解不能な部分もあるが、既存の概念を完全に打ち破り、脳を開放すると人間はここまで斬新になれるのか、ということを具現化したものだ。見る価値は十分ある施設であるが、この後、直島は訪れるべき地ではあるものの、二度はいかない可能性が高いと思った。その理由は入場料が2000円強と高額にもかかわらず、美術館中にみるべきスポットが少なく、かつ写真撮影が建物についても禁止とのことだ。オール写真撮影禁止、これはあり得ない。SNSで拡散すれば、もっと多くの観光客が訪れるに違いないが、逆に拡散すると、コスパが悪いことがわかってしまうのを予防しているのかもしれない。そう考えると、もろ手を挙げてほめたたえることはできないのである。ちなみに本日の入場客のおよそ半分が韓国からの団体であった。
地中美術館から歩いて数分のところに、余白の美を追求する韓国人芸術家、李禹煥(リー・ウーファン)の美術館がある。その建築も安藤忠雄氏の手によるものだ。入場料は1000円強。屋内に展示された作品は数点しかない。コスパの悪さはピカイチだ。そして、同じベネッセ・アートサイトの美術館群であるにもかかわらず、美術館巡りの割引が一切ない。各美術館で入場券を買ってくれという。ベネッセ(旧・福武書店)の殿様商売、ここに極まれり、だ。この美術館の入り口に常駐しているオジサンに尋ねると、ベネッセの宿泊客以外は美術館群をめぐるシャトルバスに乗ることもできないという。実はそれは間違いで、一般用のシャトルバスも用意されていたのだが、観光客を相手に交通整理しているオジサンの知識が間違ったままでよいのか疑問だ。それ以前に、地下美術館の受付他、大勢の女性スタッフが、他の美術館への行き方などを案内しないのは、あまりにも不親切である。
結局、直島にはバイクやクルマをフェリーに積載して行くのはお勧めしない。なぜなら、これらベネッセ・アートサイトでぼったくられ、南側に位置するベネッセハウスへは宿泊客以外のクルマは近づけず、本数少ないシャトルバスで移動するか、レンタル電動サイクルで行くしかないのである。観光客にとって、バイクやクルマでの移動が極めて不便な島なのだ。莫大な金をかけて建築した美術館群であり、入場料が高いのはやむを得ないのかもしれないが、そこに多くの観光客に来てもらおうというサービス精神が完全に欠如しているのである。写真撮影禁止はすぐに見直すべきだし、それが解禁されないのであれば、地下美術館は500円、李禹煥美術館は200円程度の入場料に値下げすべきである。