2016年1月16日土曜日

XV1900CUレイダー考

本日1月16日。2016年のXV1900CUレイダー乗り初めということで、目的地を設定せず、ただ流すように走ってみました。納車直後から感じている「大型帆船を思わせる堂々とした走り」は、まさにクルーザーの面目躍如といったところです。今日に到るまで、このレイダーという国産バイク最大排気量のマシンが、おぼろげながら理解できてきたので、現時点で理解したことを、御報告します。

私はアメリカン(クルーザー)バイクを2台持っています。ひょんなことから、これまで食わず嫌いで所有したことも試乗したこともないアメリカンに(追記:これはウソでした。所有するまでの興味がなかったのは本当です)、昨年いきなり2台所有となったのです。その経緯を話すと長くなるので割愛しますが、このレイダーと、もう一台はハーレーダビッドソンXL883Lスーパーローです。このハーレーですが、スポーツスターと呼ばれる1200と883のコンパクトなシリーズを指しています。

こちらがヤマハXV1900CUレイダー。本日、名阪国道の針テラスで撮影しました。いつもならバイクが大集合するポイントですが、この日は週末の土曜日ですが、バイクはそれほど多くありません。ツーリング耐性を向上させるため、左右に革製品で有名なデグナー社製のサドルバッグを取り付けたのですが、右のマフラー側にはコンパクトなバッグを取り付けています。これが優れもので、デジカメを収納できる小さなポケットが2つついています。


下の写真はもう一台のハーレーダビッドソンXL883Lスーパーローです。昨年の9月、兵庫県の竹田城址駐車場で撮影したものです。このときは1泊のひとりツーリングでしたが、片側だけのサドルバッグとフロントフォークに取り付けたツールバッグに荷物をすべて収納しました。この状態ですと1泊が限度に思います。一方のレイダーにツールバッグを取り付けるのは躊躇しています。その妖麗なスタイルを損なうのではないか、と思ったからです。



一般的には、長距離を得意とするのは排気量の大きなエンジンを積んだバイクです。極端な例ですが、日本一周を50ccの原付と1000ccのネイキッド、どちらのバイクがラクかといえば、排気量の大きな1000ccであることは論を待たないでしょう。1000ccは自動二輪ですから制限速度も高く、実際に出る速度も高く、なおかつ高速道路が使えて目的地まで早く到達しますから、行った先でゆったり体を休ませることもできるのが、大きなバイクです。

250㏄と1000㏄のネイキッド・バイク同士で比較すると、両者とも高速道路の走行は可能ですが、それでもツーリング向きと言えるのは、多くの場合は1000㏄ではないでしょうか。もちろん、小排気量ならではの楽しみも理解しているつもりですが。

というわけで、883ccのハーレー・スポーツスターと1854ccのレイダーでは、2倍以上の排気量差があるため、この両者を比べればレイダーのほうがツーリング向きかと思われるでしょう。しかし私のインプレッションでは、それが違う、逆なのです。コンパクトなスポーツスターのほうがツーリング向きだという結論に達しました。

確かに、レイダーは有り余るトルクを活かした、ストレスのない低回転での高速巡航が得意です。ノーマルマフラーの排気音も味があり、乗り手の所有感をますます高めてくれます。ですから高速道路は得意中の得意と思われがちです。確かに、単に走るだけならレイダーの独壇場ですが、ひとことで言えば「面白くない」のです。二輪車に求める「走っているぞ」という感覚が薄いのです。100km/hでの巡航など、長距離ランナーに近所一周させて楽しいか、と言っているようなものかもしれません。比喩が難しいですが。

一方、スポーツスターでは、883ccの小さな(バイク一般から見れば決して小さくないのだが)エンジンがけなげに働いて、推進力を生み出しているのが心に伝わってきます。これが楽しさと感じ、ツーリング・マインドを盛り上げてくれるのです。そうです、スポーツスターは旅にいざなう「何か」を持っているのです。

また、原付スクーター以上に低いシート高が良好な足つき性をもたらしてくれ(レイダーもかなり足つき性は良いのですが)、知らない土地、知らない店、知らない駐車場でのバイクを扱うことのハードルを極端に下げてくれています。


あらかじめ目的地が設定された、A地点からB地点まで一気に走るといったシチュエーションではレイダーに分があります。ところが、走りを楽しむ、行った先でのんびりする、といった使い方ではスポーツスターが優れているのです。では、レイダーの優れた部分はなんでしょうか。

それは何より、レイダーの真骨頂は「見せびらかして乗る」ということです。実際、すでに何人かのギャラリーが、やっぱハーレーいいね!(笑)とか、これ何cc?とか、これヤマハなんだ!と質問したり声をかけてきたりと、ものすごい注目を浴びました。

つまり、レイダーのレイダーらしい使い方とは、都市部において、周囲に見せびらかす、存在を誇示して乗るような使い方ではないでしょうか。どうやら、ツーリングは出来ないことはないが、それが本来的な使い方ではない、ということなのです。

一方のスポーツスターは、前述した足つき性のよさもあって、近所のコンビニから長距離まで、オールマイティーに使える利便性が光ります。ただし、細部の操作性は国産車にはかないません。ニュートラルに入れづらいというのがその代表かもしれませんが、全体に操作系が硬いのです。鉄の塊を操るという感覚でしょうか。しかしコツさえつかめば日常の足に十分、なってくれると思います。私が所有するバイクのもう一台はアドレスV125ですが、これと同等の使い勝手と認識しています。

また、スポーツスターの重量が260kgなのに比べ、レイダーの331kgというのは取り回しの労苦がまったく違います。レイダーはちょっとした坂道ではお手上げです。車重の違いが、走りつかれた旅先での疲労に大きく差をもたらすことでしょう。

また、ハーレーダビッドソン一般に言えることですが、乗車時に骨太感を感じるのです。ラフに扱っても壊れない、ということをマシンがライダーに宣言しているような感じすらします。一方、レイダーもシフトチェンジにおいて他のスポーツバイクと違って踏みしろが大きく、あたかも四輪のマニュアルトランスミッションを操作するような「操作の確実感」があるのですが、絶妙なバランスで組み立てているのが理解できる一方、ちょっぴり華奢な印象を受けるのも正直な感想です。

さて、このレイダーですが、今回は購入後初めての満タン法での燃費計算でしたが、リッター19.55kmと、渋滞から高速道路までさまざまな走りのシーンがあったのですが、予想以上の好燃費でした。これはツーリングにおける経済性に合格点を与えられます。


レイダーもスポーツスターも、ガソリンタンク容量は17リットル、16リットルとほとんど違いがありませんが、スポーツスターの燃費はリッター25km前後ですから、ガソリンスタンドのない地方を走る場合は、こちらのほうが助かると思います。

いずれにせよ、アメリカンでのツーリングには、天候を気にせず荷物を搭載できる、大型トップケースやパニアケースを装備できるツアラーとは、異なる旅への心構えが必要でしょう。写真に示すような革製のサドルバッグを取り付けることになりますが、容量は少なく、雨から中身を守るには、レインカバーをかぶせる手間が必要です。また、それ自体にはキーもかかりません。容積の少なさは、持ち物を制限したり(コインランドリーを使って洗濯したり?)、土産は宅配便で送るなどすれば(本来的ではないですが)、十分、1週間程度までのツーリングに耐えられるのではないかと思った次第です。



本日のルート: 大和高田市→橿原市曲川町東→橿原バイパス→京奈和自動車道(無料区間)→郡山インター、西名阪自動車道→名阪国道→針インター、針テラス→国道165号→名張市→伊賀上野→木津川市→京田辺市→枚方市→国道170号→国道25号→国道165号、中和幹線→大和高田市 走行距離:188km。

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