2016年8月16日火曜日

森の京都へ

8月13日の土曜日は、XV1900CUレイダーに乗って、大阪森ノ宮にある大阪府赤十字血液センターに129回目の献血に行きましたが、翌日8月14日の日曜日、今度はハーレーダビッドソンXL883Lに乗りかえて、京都府南丹市の美山町を目指してソロ・ツーリングとなりました。美山町は前回、ライダーが集まるカフェ、Joey's Barに来たところですが、今回は観光客に有名な「かやぶきの里」を目指します。とても暑く、ジャケットを脱いでTシャツになると日に焼けますので、かやぶき屋根の集落を散策するのは次回にお預けして、今回は遠くから眺めるだけにしたいと思って出かけました。

自宅を出発したのは10時40分。ツーリングは、出かけた直後にもどこに行くか迷っていることが多々あります。向かった先で、よし、こっちの道で行こう、なんてよくあることなのですが、今回も高速道路に乗って「やっぱり美山に行こう」となったわけです。近畿道を吹田ジャンクションまで行き、そこから名神高速道路に入ります。さすがお盆の期間中ですから、渋滞は凄いです。トンネルが続く左ルートは全線が渋滞で、なんとかすり抜けして大山崎ジャンクションから京都縦貫自動車道に入ります。

アメリカン2台生活になってから、実はすり抜けはほとんどしなくなりました。いつも精神的にゆとりを持つようにしたので、クルマの間を縫って走ることはしなくなったのです。特にレイダーは大型で、ホイールベースが1800mmもありますから、縫うような走りが苦手なのです。そうは言っても、お盆中の長蛇の渋滞は何とかしたいのですが、高速道路の車線間は一般道よりも広く設計されており、すり抜けは容易なのです。ここまで、クルマならばあと1時間ほどかかっていたかもしれません。

京都縦貫自動車道は交通量が少ないと思ったのですが、八木東から園部までは渋滞でした。ここもすり抜けして園部で降りたのですが、本当は綾部あたりまで行くつもりでしたが止めました。小浜あたりで若狭湾をみたいとは思いましたが、今日の交通量だと時間がかかりすぎてしまう可能性があったからです。園部インターで降りて府道19号線を美山に向けて進みます。

13時10分、美山かやぶきの里に到着です。ここまで142kmの道のりでした。


お盆の期間中ですから、かなりの観光客でごった返しています。道路に面したおそば屋さん「お食事処きたむら」は、店内で待つ客でいっぱい。おひとり様である私も30分ぐらい待ちました。


猛暑ですが、なぜか温かいそばが食べたくなり、とり南蛮そばとミニ玉子丼のセット1,040円を注文しました。これがなかなか美味い。観光客相手のぼったくり店という印象はみじんもありません。14時を回って表に出てみると、さらに観光客が増えたようで、あわや私のバイクが駐車場から出られなくなるところでした。


上にも書きましたが、今回は遠くからかやぶき屋根の集落を眺めるだけにしました。日本の里山の原風景が目の前に広がっています。この集落の道をさらに先に進むと交通量はぐっと少なくなります。多くの観光客はかやぶきの里を終点にして引き返すからです。そして道路標識には「↑京都」という案内しかありません。行きつく先が京都となれば、進路が南になり、元に戻るような感覚です。まぁ、そろそろ15時にもなろうという時刻ですから、ナビもなければ地図もないツーリングですから、勝手気ままに走ろうと思いました。


京都の北部は森がとにかく深く見えます。ここ南丹市や京都市右京区京北(けいほく)地区など、京都府北部は「森の京都」として観光PRをしているようです。京都の観光と言えば京都や宇治の神社仏閣に代表されますが、北部京都は自然がいっぱいで、古都のもう一つの顔を見せています。とても緑にあふれたエリアです。

京都府というのは、府庁所在地である京都市の人口が京都府全体の56%を占めているということで、23区を一つと考えた東京都を除けば、都道府県庁所在地の人口が県全体の半分以上を占める、唯一の都道府県なのです。(この知識、Wikipediaにも書いてありました)

さて、2車線の道はどんどん狭くなり、ところどころ片側通行せざるを得ない森林地帯に突入していきます。休日でレジャー客は多いと思いきや、対向車はほとんどありません。しばらく走ると、南丹市の最北西部に到達、ここには渓谷を見渡せる駐車場がありました。


ここは芦生(あしう)ロードパークという、かっこいい名前の付いた駐車場ですが、地面が砂利で、足場が悪いです。それでも、そこから見下ろせる渓谷美はなかなかのものがありました。後で調べると、唐戸渓谷という名前だそうです。


ちょうど河川がヘアピンカーブするところのようで、どこか和歌山県有田川町の「あらぎ島」を思い出させる眺めです。上の写真には写っていませんでしたが、この左側に釣り客が何人か見えました。芦生ロードパークには公衆便所もありました。

この区間は完全な山間部で、民家はほとんどありません。都市と山間部のコントラストが明確であり、これは神奈川県や埼玉県のような、全域がどこか都市化している県とは違います。以前にもこのブログで書いたと思いますが、関西にしても中国地方にしても、都市部と郊外のコントラストはより明瞭なのです。


最近では、東京都多摩地区や神奈川県相模原市の郊外でクマに遭遇することがあるらしいですが、ここ関西でもクマの目撃が急増していると聞きました。また、釣り客のようなわずかな人間を見る以外は、本当に緑が深く、日中一人でバイクで走っていても、孤独感が払しょくできません。夜であるならなおさら、車で走るのも避けたいような、そんな山奥なのです。


しばらく先に進むと、京都市との市境となります。市境で写真を撮りたかったのですが、先ほど私を追い抜いて行ったヤマハの250ccモタードがお休みしていましたので、遠慮しました。さらに進むと、左折で大原、直進で京北という標識のある交差点があり、ここを京北方面に進むとすぐに自動販売機のあるひなびたお店があります。大型バイク2台のカップルがいました。


ここでスプライト130円を買って飲みます。先ほどのそば屋で熱いお茶はいただきましたが、今日のツーリング最初の冷たい飲みものとなります。生き返りました。ここまで178kmです。

たしかに暑いのですが、それでも今日走ってきた大阪や京都のような35度とか36度という酷暑ではなく、森のエリアに来てからの外気温はせいぜい32度までの表示です。30度という表示もありました。もっとも、30度を超えていると厳しいのですが、それでも「ずいぶんまし、涼しい」と感じられるようになるんですから、人間の感覚っておもしろいですね。着ている夏用ジャケットは、フルメッシュで風が通り抜けますから、走ると結構快適なんです。さて、京北に向かいます。

京北は以前、北桑田郡京北町(けいほくちょう)という独立した自治体だったのですが、京都市右京区に編入合併され、京都市の一部になりました。京都市の区では、大原や京都大学を擁する左京区がかつて面積最大でしたが、京北町の合併で右京区が最大となりました。京都市の面積は東京23区を上回り、横浜市の2倍ほどの面積となりました。


京北地区の中心部にある「ウッディ京北」という道の駅で休憩します。ここでは、特産品のジャンボニンニク(臭いが少ない)やブルーベリーのジャム、さらに猪のレトルトカレーを土産に買いました。なぜか「十勝のジャガイモ」というのもこの地域で栽培していて、その小ぶりなジャガイモも買ってみました。またまた脱水が進みましたので、ここでは缶コーヒーをいただきます。ここまで197km。

上の写真のように、日が照っているかと思えば、大気の不安定なことを示す暗雲が近づいてきています。いまから暗雲の立ち込める方向に走らなければなりません。再び南丹市の、今度は八木という地区を目指して走ります。


途中、嵐山を流れることで知られる桂川の橋でハーレーを入れて撮影してみました。北向きに撮影していて、向こうが上流となります。ここではかなり、川幅が狭いです。


山岳地帯に入ると、路面が濡れています。しかし日の当たる瞬間もあり、霧も立ち込めたりと、天気は不安定です。案の定、稲光が遠くで見えてきました。そして雷鳴もとどろきます。いまからその方向に走らなければなりません。残念ながら、今日はレインウェア(雨具)を持参していないのです。雨になったら濡れるに任せるしかありません。

途中で夏祭りがあったりして強制的に左折させられたりしましたが、なんとか感を頼りに国道477号を兵庫県川西市に向かって走ります。そのころには大雨にあたり、下着も靴の中もぐちゃぐちゃです。ゴールデンウィークにも雨に当たりませんでしたから、この感覚、久しぶりでした(笑。

ハーレーのガソリンタンク容量は17リットルで、最低でも20km/lは走ると見込んでいますから、もうしばらく走れるだろうと思いましたが、阪神高速に入る前にガソリンを補給しなければなりません。雨宿りもかねて川西市のセルフスタンドに飛び込みました。



人間用のレインウェアは持ち合わせていませんでしたが、サドルバッグ用のレインカバーは持っていました。それを写真のようにサドルバッグにかぶせ、すっ飛ばないようにひもを車体に括り付け、これで荷物が濡れることがなくなりました。ここでは前後のタイヤ空気圧もチェックしました。規定値はありましたが、少し余分に空気を入れておきました。

この先に阪神高速の入口がありますが、そこまで最後の渋滞です。このガソリンスタンドを出発したのが18時03分、自宅には19時13分に到着しました。

帰途で気が付いたのですが、路面のギャップを超えるとき、前サスペンションがへたってきたのか、クッション性が悪く不快な突き上げがあり、やかんの蓋を落とした時のような音がします。近いうちにバイク屋さんで見てもらわなければらないかもしれません。

朝寝坊しても日帰りでちょっと遠くまで足を伸ばせる。オートバイの旅の魅力は、気軽さと冒険心の両方を兼ね備えていることだと感じました。

○全走行距離: 317.6km
○ガソリンスタンドでの燃費: 26.57km/l