2017年10月12日木曜日

NMAX125でゆく甑島ツーリング

2017年10月6日 仕事を早めに切り上げ、まだ見ぬ「その先の日本」を知るため、NMAXを走らせる。最初の給油は八尾市志紀町のエッソ志紀にて。NMAX初の給油であり、燃費計算はできない。


神戸三宮港からフェリーに乗り込む。船内レストランはバイキング。1,500円の元を取ろうと、これでもちょっと欲張ったほう。右の皿にある炭焼地鶏が名物の地方に向かうのだが、エビフライの横にある鶏のから揚げのことを「ザンギ」と表示していた。500ml缶ビールは320円。向かい合う若い男性と相席だったが、彼のほうから声をかけてくれた。聞けば、関西で3か月の修業が終わり、地元に帰るとのこと。都会は苦手だと言っていた。


翌朝、宮崎港にて九州上陸し、都城市を経て錦江湾(鹿児島湾)沿いへ。霧島市隼人町にある鹿児島ラーメンセンターマルヤスにて昼食。煮卵入りラーメン730円。鹿児島ラーメンは初めてなので、これをもって鹿児島ラーメンを評することはできないが、長浜ラーメンに近い細さのやや縮れた麺で、ゆですぎなのか柔らかい。スープは豚骨しょうゆなのだろうが、どことなく味噌っぽくもある。一言で表すなら、「寝ぼけたラーメン」だ。ごめんね。


鹿児島市に向かう途中の国道10号・姶良市(あいらし)を走行中、ハーレーダビッドソン鹿児島を発見! 立ち寄ってみた。こちらもハーレーのキャップをかぶってオーナーであることをアピール(笑) その成果もあり、アイスコーヒーをいただいただけでなく、2018年モデルのカタログを進呈された!


2018年モデルのソフテイル、ブレイクアウトが2台。こちらが排気量114ci、向こうが107ci。タンク容量が13リットルと少なくなったのはスタイルのバランスを考えてだろう。ブレイクアウトのテールランプはウインカーに組み込みなので、独立したテール&ブレーキランプはない。このモデルチェンジにより、最大17kgもの減量を成し遂げたという。新作エンジンであるミルウォーキーエイトもかなり評判が良いという。まぎれもない、わがレイダーの最大のライバルがこのブレイクアウトである。幅240mmというワイドなリアタイヤが大地をけ飛ばして走る。2016年モデルを試乗したことがあるが、曲がるのに一苦労した記憶がある。(レイダーの後輪は210mm幅)


次のフェリーに乗るため、宮崎から一般道170kmほどを走って鹿児島県西部・串木野新港に到着。スクリーンに乗船券を張り付けるのがここの流儀。鹿児島県を二輪車で走るのはこれが初めて。残るは青森・秋田・山形・沖縄の4県を残すのみとなった。さぁ、ここからは東シナ海を渡る。


夕闇迫る東シナ海に、今日の目的地、上甑島(かみこしきしま)が見えてきた。この島の最高峰は千葉県の最高峰(房総の愛宕山408m)より高いという。わがふるさと、千葉県はあらためて「山なし県」であることを実感。


10月7日は全国で鹿児島だけが30度という予報。宮崎県内を走った午前中はすがすがしい秋晴れの快適さだったが、県境を超えると一気に気温が上昇して夏モード。すっかり秋めいていた関西から季節が逆戻りした感。秋冬用ジャケットの吸気口と排気口を開放しても、熱がこもり汗だくに。18時に到着し、他の客が到着する前にひと風呂浴びた。民宿と聞いて期待していなかったが、至れり尽くせり、アメニティはすべて揃っていて、予想外の現代的風呂に感激!


今夜の宿泊客は私を含め8人。30~40代のご夫婦2組以外は、私と同業他職種の3人組(すべて職種は異なるが)。彼女たち自身おばさんと称していたが、おそらく私と同じおじさん世代だろう。高校の同級生とのこと。鹿児島県人でも甑島を知らない人もいるだろいうという話。日本全体で見れば、おそらく日本人の1%も生涯、訪れることのない離島ではないだろうか。


地元・上甑島・里にある塩田酒造さんの焼酎、六代目百合をロックでいただいた。芋焼酎は悪酔いする印象があり苦手だったのだが、せっかくだからとこの地元の焼酎をいただいたところ、あっさりと飲め、翌朝も全く残らなかった。


日本三大トンボロの街、上甑島・里。その西岸で迎えた朝。穏やかな海面、穏やかな風景。穏やかな人々。そして、あいさつの島。行きかう人すべて「おはうようございます」「こんにちは」と、挨拶してくれる。挨拶しないと、「お前、さっき挨拶してくれなかったろ」と言われることすらあるという。こちらバイクに対して車から手を振ってくれたのには驚いた。バイク同士ならしょっちゅう挨拶はしているが。。。都会が失ったものが確実にある。


トンボロの北には、陸続きの、ほぼ無人島がある。その東岸は市の浦キャンプ場。コバルトブルーの海が普通にそこにある。おそらく離島や孤独に魅せられたであろうキャンパーが数名。バイクあり、クルマあり。札幌ナンバーのデリカが1台。


この景色が見たくてここまでやってきた。長目の浜展望所。上甑島の北岸には、砂洲(長目の浜)で仕切られた湖沼群をみることができる。いちばん向こうが、最大の海鼠池(なまこいけ)。


上甑島の一番西部の小さな漁港の集落、桑之浦にやってきた。そこにあるのは、美しい海、穏やかな人々、逃れられない現実。


北西側からなまこ池(海鼠池)を見下ろす展望所。砂洲である長目の浜の向こうは東シナ海。


現在、上甑島と下甑島の間の交通手段はフェリーだけである。中甑島は上甑島と架橋され、行き来ができる状態だが、下島はそうではない。6年前に始まった藺牟田瀬戸架橋(仮称、いむたせとかきょう)建設も、当初予定の2年を大きく過ぎ、ネット情報によれば今年の11月(来月)にでも完成予定とあるが、こうして木の口展望所から見れば、進捗状況は芳しくない。仮設橋を建設しているようで、これでは10年先も未完成ではと思わざるを得ない。日本のサグラダファミリアだと言ったら、宿のご主人からは「あれはいつか完成するが、こっちは完成の見込みがない」と返された。


異国情緒あふれるアーチ橋の鹿の子大橋。中島と中甑島を結ぶ。




平成の大合併で薩摩川内市に属することになった甑島列島。その中心市街地とも呼べる旧・里村は、日本三大トンボロの一つである。あとの二つは、函館市(北海道)と串本町(和歌山県)である。



上甑島の、北東に位置する里と反対側、南岸に面する中甑港に、茶色のフェリーターミナル然とした建物を見つけた。フェリーターミナルにあらず、コシキテラスという、昨年オープンしたおしゃれなカフェ&ショップのようだ。午前中に訪れた時には、財布をバイクに忘れ、小銭入れしかなく、アイスコーヒーとカップアイスクリームをいただくにとどめたが(なにせ汗だくだったんで)、午後から再訪して、島アロエのソーダと豆腐のティラミス?を注文した。正直、コストパフォーマンスは最悪の部類に入る。この二つで1,100円ほどだ。事実、客はほとんどいない。せっかくおしゃれなスポットが誕生したのである。適正な価格にして、ついでに愛想を良くして、一人でも多くの島民や観光客に来てもらう努力を見せてほしい。行政(薩摩川内市)が肩入れするとロクなことにならない前例にしないためにも。



突如現れる、圧倒的な迫力の絶景。甑大明神橋から望む、甑(せいろ)のような形をした大岩。


長目の浜と海鼠(なまこ)池を北西部の田之尻展望所より眺める。他に誰も観光客がいないであろう気持ちよさ。ちっちゃいバイクで日本の隅っこに来ることに意義がある。


東シナ海に沈む夕日。17時53分


6時31分。朝日が里港フェリーターミナルのゲートをくぐる。


2017年10月9日 さようなら甑島。濃縮された39時間をありがとう。このあと朝9時半のフェリーに向けて里港へ。


串木野新港に再び上陸し、伊佐市を経由して宮崎に帰る。その途中、伊佐市(旧・大口市)に曽木の滝なる案内があり、行ってみるとまさに東洋のナイアガラ。群馬県の吹割の滝とはまた違う趣。


鹿児島県伊佐市から宮崎県えびの市に向かう国道447号線。峠を含む山間区間は「酷道」の類。NMAXは小型スクーターながら、パワーを出し切る感もなく、峠を越える。


えびの市から宮崎市へ。再び神戸までのフェリーに乗り、翌朝、現実に戻ってきた。

5日間の総走行距離:607.1km(フェリー区間は除く)  平均燃費:53km/l(驚愕!)