2014年11月4日火曜日

ヤマハのニューモデル、MT-09 に試乗!

ひと月前、八尾市にあるヤマは・オートバイの専門店、YSP大阪東で、ヤマハのニューモデル、MT-09に試乗した。弟分ともいえるMT-07の試乗については、すでに紹介したが、一つ前にMT-07の秀逸さを実感しており、よりワイルドだと評判のMT-09がMT-07とどう違うのか、単なるパワーだけなのか、後述するモード切替えによる走りの違いは実感できるか、2気筒エンジンのMT-07と3気筒エンジンのMT-09ではエンジンフィールに違いがあるのか等、興味津々である。


YSP大阪東には試乗を目的に行ったわけではなく、中古バイクでそのとき興味があったスズキ・バンバン200の在庫があるようなので、行っただけである。

すると気さくなスタッフが、ヤマハ・ニューモデル3車種(トリシティ、MT-07、MT-09)の試乗を勧めてきた。四輪車の試乗と異なり、誰かが同乗して運転のアドバイスをしてくれるわけでもなく、車種ごとにシート高も車重も異なるオートバイの試乗というのは常に不安だらけだ。


その不安を倍増させるような事件?が試乗の直前にあった。この店でMT-09を買ったばかりのお客さん、おそらく50歳前後の男性が、店のスタッフから「ものすごいパワーですから、アクセルを開けるときは慎重にお願いします」と、私の目の前で重ねて言われていたのだが、わかってますよー、とばかりに発車したら、ブオン!!と後輪がスライドしているではないか。試乗前からかなりのプレッシャーになった。

このMT-09には特筆すべき機能があるが、それは3種類の走行モードが選べることだ。現代のエンジンは燃料噴射装置に代表されるように電子化がすすみ、そのひとつがこの機能である。右手のスイッチで切り替えられるもので、真ん中がSTD、過激なAモード、そしておとなしいBモードである。Bモードでは最高出力も低く設定されているようで、発進もマイルドで、店のスタッフはMT-09に乗っているといいながらも、Bモード以外は使っていない、と断言していた。

そういうわけで、このバイクの試乗前からアドレナリンがみなぎってしまうのである。さらに、このスタッフからは脅された。とにかくSTDモードでも過激だという。Aモードは前後にクルマがいないときにお試しください、とも。これには相当ビビった。

しかし、いざまたがってみると、足つき性を含めてさきほどまでのMT-07とほとんど変わらないポジションがまた秀逸だ。オフロードバイクには及ばないが、高性能オンロードバイクでこれだけの軽さを感じるのは他にない。実際の車重もMT-07とほとんど違わないのではと思うほど。メーターがMT-07と異なり、右側にオフセットされているが、これはメーターが前席のちょうど真ん中に位置するクルマに最初に感じた違和感と似ているのではないか。


(上の写真:左にオレンジ色のMT-09、右にガンメタリックのMT-07)

エンジンをかけ、まずはおとなしいBモードで走り出す。それでもさすがに排気量分以上にトルク感が違う。MT-07と違い、ずぼらなクラッチミートをしても背中を押されるように走り出せる。そして右手にゆっくりと力をこめてスロットルを回すと、手の動きとリニアに速度が増していくのが解かる。非常に素直だが、あえて感覚的にいえば、レシプロエンジンというよりロータリーエンジンのような回転感というか、フリクションにロスがない、ということか、うまく表現できないが、簡単に言ってしまえばエンジンではなく電動モーターに近い感覚なのだ。

近畿自動車道と平行に走る大阪外環道という幹線道路に出るまで、ここは我慢のBモードでやり過ごす。この幹線道にでると、STDモードにシフト。Bモードでも決して抑圧された印象はなかったのだが、STDでパワーの伸びがぐっと増す。

そしてAモード。これはヤバい。過激すぎる! いくら命があっても足りない。。。というのは言い過ぎかもしれないが、自制心をこれほど必要とする瞬間はないだろう。なにせ本当に命がかかっているのだから。これらSTDとAモードによって、MT-09は本来の性能を発揮する。ポジションが「前傾のあるオフロード」という感じで、周囲に対する眺めがよい。それは安全にもつながるのだが、その状況での「過激」だ。

前後のサスペンションは極めてよく働いてくれているようで、加速時のフロントの浮き上がり、制動(ブレーキ)時のフロントの沈み込みを、しなやかに吸収してくれているのだ。ブレーキの利きもまったく不満がない。これは以前に乗っていたXJR1300での「まぁ止まればいい」というものではなく、確実に停止することをバイクに約束させられている、ぐらいの違いがあるといえるだろう。


一般道なので高速域を試すことはできなかったが、あらゆる速度域において、MT-07でも感じていた「人機一体感」がある。タイヤが手や足のように、ライダーの脳とシンクロしている感覚だ。MT-07では欲を出してロングツーリングにも、などと考えたのだが、MT-09では風と格闘するバイザーも不要で、ただ走ることそのものを楽しむ道具だと感じた次第である。

ガソリンは、こちらMT-09がハイオク指定、MT-07がレギュラーでOKというのも、両者のキャラクターをあらわしているのだと思う。

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